ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ママとうみのやくそく』 

ママと うみの やくそく」って、

ママは、どのような約束を 海としたのでしょうか?

  

   

ママは

韓国の チュジェ島の 海女です

おばあちゃんも 海女です

 

ママは、素潜りの 天才

わかめ、たこ、あわび、おさかなを たくさん 採ってきます

  

 「海から 顔をだしたら ほそく 息をはきだすの。

  そうしたら、フェ~イ フェ~イって

  口笛みたいな 音がするの

  いそぶえって いうのよ」

 

   

でも、おばあちゃんは ママより たくさん とってくるの

ふしぎ

 

 「そりゃあ、うみの かみさまの いうことを

  ちゃあんと きいているからだよ」

 

 

ママは 

若いころ、都会で 美容師を していた

でも、自分らしい いきかたを したくなって

海に もどって

おばあちゃんと いっしょに 海女になったの

  

     

ところが、

ある日、ママは

海の 深いところで

岩のすきまに おおきな 貝を みつけ

手を つっこんでしまって おぼれそうになった

 

おばあちゃんが ママを ひきあげてくれた

おばあちゃんは ママに いったの

 

 「海の なかで 欲をはったら さいご

  おぼれてしまう さだめなのさ」

 

    

きょうも ママが 海に出る 準備をしています

わたしが「空気タンクを つかえば いいじゃない」と いうと

おばあちゃんが いいます

   

 「むかしから つたわってきた うつくしい

  やくそくが あるんだよ」

   

 「やくそく?」

   

 「海のそこを わたしたちは 海のはたけって よぶんだよ

  海が めぐんでくれるぶんだけ いただこうってのが

  海女たちの やくそくなんだよ」

   

   

おばあちゃんは あしたも ママに こう言うでしょう

   

 「きょうも いちにち よくを はらずに

  おまえの いきが つづくだけ

  うみに もぐっていらっしゃい

     

       ・・・

韓国・済州島の海で生きる、おばあちゃん、ママ、わたし。

おはなしは、「わたし」の視点から語られています。海で生きてきたおばあちゃんの生き方と知恵、都会で働いたけれど、故郷にもどり海女になったママ。「わたし」は、ふたりからたくさんのことを学んだことでしょう。読者も、ふたりの女性の生き方、海のたいせつさ、海女として海に生きることの意味を学んでいきます。

           

「きょうも いちにち よくを はらずに おまえの いきが つづくだけ うみに もぐっていらっしゃい」というおばあちゃんの言葉は、ママにだけ向けられた言葉ではないことに気づきます。おばあちゃんの人生訓であり、わたしたちの道しるべの言葉です。

       ・・・

※『ママとうみのやくそく』 コ・ヒヨン文、エヴァ・アルミセン絵、おおたけきよみ訳、主婦の友社、2020年

    

【 追記 】

「済州海女文化には、海女の技術をはじめ海の生態環境に適応して蓄積された長い経験や知識、海女の安全を祈願する儀礼などが含まれるとして、2012年に韓国の無形遺産として登録された」(ウィキペディア「海女」)

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